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アレキサンドライトの買取時に、鑑定士が見る3つのポイント
「宝石の王様」と呼ばれ、ロシアでは「皇帝の宝石」と称される宝石、アレキサンドライト。
アレキサンドライトは1830年に発見され、当初はその色からエメラルドだと思われていました。
しかし、光の加減で深い緑と赤に変色することから、エメラルドとは異なる珍しい石として、採掘がスタート。
アレキサンドライトはこうして希少価値が高まり、当時のロシア皇帝、ニコライ1世に献上されました。
また、この献上された日が、皇太子のアレクサンドル2世の誕生日だったことから「アレキサンドライト」という名前が付けられたのではないかという説もあります。
属性(鉱物名)は「クリソベリル」。キャッツアイと同じ属性を持っています。
そこで今回は、光の加減で色が変化する幻想的な宝石、アレキサンドライトの特徴を見ながら、鑑定士が査定の際にチェックするポイントをご紹介します。
①変色効果の落差と、石が持つもともとの美しさ
アレキサンドライト最大の特色は、光によって色が変わる、ということです。
太陽光や蛍光灯など、青っぽい色味の光の下では緑になり、
夜や暗所で、ろうそくやランプなどの赤っぽい光の下で見ると赤になります。
鑑定士が見るのはこの2色の「落差」です。
通常の時は、トップ画像のように透明感のある緑色になり、暗いところで見ると鮮やかな赤になるものがベスト。
「赤と緑の差」がはっきりしているものほどよいとされ、査定も高くなります。
さらに、もともとの色味も視覚的に美しいものがよいとされ、下記の写真のように透明感がないものは、査定も低くなります。
確かに青みは強いですが、ぱっと見て「キレイ!」と感じるのは難しいですよね。
この感覚は鑑定士も一般ユーザーも同じです。
理想は
「普段は赤でも緑にも寄っていない色味なのに、光の具合で劇的にはっきりと変色する」
これがアレキサンドライトの高価査定の、最大のポイントになります。
ちなみにこの変色は「昼のエメラルド、夜のルビー」とも言われています。
また、宝石はその石が持つ特色をより美しく見せるため、特殊なカットを施してあり、ダイヤモンドならブリリアントカット、キャッツアイならカボションカットを採用していますが、アレキサンドライトはその名も「アレキサンドライトカット」が施してあります。
アレキサンドライトはキャッツアイとおなじ属性を持つのですが、2つの石の特色を併せ持った「アレキサンドライトキャッツアイ」という宝石も人気です。
②くすみのない、透明度の高さ
鑑定士が2番目に見るポイントは「透明度」。
①で挙げた写真でもわかるように、色味の美しさには透明度が必須です。
宝石業界の専門用語で「インクルージョン」と言葉があります。
宝石は天然のものなので、生成される途中にほかの鉱物や液体、気体が混じったり、ひび割れやくもりが生じるのですが、これを称して「インクルージョン(内包物)」と呼びます。
透明度を計る時、このインクルージョンの具合は大きな要素で、専門的には少し意味が違うのですが、イメージとしては「インクルージョンが少ないほど透明度が高くなる」ということが言えます。
実際、お持ちのアレキサンドライトの透明度を見たい場合には、太陽光や電気の下で透かしてみること。
透明度が高いものならば、向こうの光や、指輪であれば留め金具が透けて見えます。
とはいえ、透明度の基準は一般ユーザーにはわかりにくいもの。
実際の査定時には、鑑定士の専門機器である特殊なライトで鑑定するので「ちょっと見てみる」というくらいの感覚で大丈夫です。
③産地の場所が査定に影響。トップはロシア産
鑑定士が見るポイントの3つ目が産地。
アレキサンドライトは、その産地によって査定が異なってきます!
査定が高い順に産地を並べると
①ロシア
②ブラジル
③スリランカ
の順になります。
実は宝石というのは南に行けばいくほど炭素が多くなり、少し色が暗くなってしまいます。
こうした面から見ても、アレキサンドライトが最初に発見されたロシア産は寒地というのもあり、最高級だといえます。
もちろん、赤と緑の変色の落差も、かなり激しいです。
ただし高級すぎるので、買取り店や業者オークションでも、頻繁に見ることはありません。
上記のように、最近は採掘も進み、ブラジルやスリランカでもよく見られるようになりましたが、やはりロシア産は別格!
もし鑑定書をお持ちならば、特にロシア産の場合は査定価格がグンとアップするので、ぜひ持参してください。
豆知識:鑑定士の技量を計る意地悪な質問
宝石は一般的鑑定士の技量によって査定が異なりますが、その中でも今回のアレキサンドライトは、その個性的な材質ゆえ、最も鑑定士の経験によって価格が大きく左右されます!
場合によっては、1カラットあたり数万円、時には10万円の差が付くことも。
そんな時に買取店でぜひ使って欲しい、ちょっと意地悪な質問があります。
それが
「カラーチェンジはどのくらいありますか?」
という質問。
カラーチェンジというのは専門用語ですし、変色の落差が査定に影響することを知る一般ユーザーはあまりいません。
ですから、一流の鑑定士なら即答できるでしょうし、査定に関しても、きっと改めて真剣に見てくれるでしょう。
もしそこでうろたえる鑑定士であるようなら、少し疑ったほうがいいかもしれません。
また言うまでもないのですが、①や②について、電話やラインで確認することはできませんので、直接お店に持っていって、鑑定してもらいましょう。
まとめ/アレキサンドライトを売る時の注意点
アレキサンドライトを鑑定する際、鑑定士は
①変色の落差
②透明度
③産地
の3つをポイントにして見ています。
こうした予備知識を持っておくと、買い取りの際に役に立つでしょう。
①や②はプロにお任せしてもいいですが、③については鑑定書に記載があるので、買い取りをお願いする際にはぜひ持って行きましょう。
また、アレキサンドライトは鑑定士の力量によって査定が大きく異なってくるので、電話やラインの写真ではなく、直接買取店で鑑定してもらいましょう。
また、面倒ではありますが、何件か回って「相見積もり」を取るようにしてください。
鑑定士によってここまで差が出るのかということを、実感できるはずです。