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転売って違法行為なの?現役鑑定士が徹底解説!
誰でも不要なモノが売れるようになった時代。
それを知ってか知らずか、人気が出そうな商品を青田買いして高額で売る「転売」も行われ、巷では「転売屋」とか「転売ヤー」などと呼ばれています。
不当に利益を得ているような気がする「転売」。
これって違法なのでしょうか?
そこで今回は現状も含めて、転売は違法行為なのか、そして、疑われないためにはどのような対策をしておけばいいかをお伝えします。
1.今や誰でも転売可能。その現状とは?
誰でも転売ができる環境がある中、一番顕著なのがなんといってもスニーカー。
昔から転売の定番ですよね。
特にコラボ商品には注目が集まり、ナイキのエアマックスやヴェイパーマックス、アディダスといったスニーカーに、オフホワイトやSTUSSYなどのアパレルブランドがコラボすると、定価が3万円前後のものが、オークションで5~10万に跳ね上がることも。
転売ヤーは、店頭抽選や整理券を目当てに、お店に朝から、もしくは前日の夜から並ぶことも日常茶飯事。
なぜなら、それだけ需要があり、元が取れるからです。
さらには、転売のためのサイト自体も作り込まれる傾向にあります。
例えば、確実に定価以上の金額で売れると判断した場合、あらかじめヤフオクやメルカリにページだけ作っておき、モノを入手したらすぐ写真をアップ、即完売という流れを作っておくのです。
こうした商品はとにかくスピード勝負!!
タイムロスがあると相場に響くので、できる限り手間を省いておくというわけです。
儲けるために寸暇を惜しまない姿勢には頭が下がるものの、素人目に見ても転売目的…。
実際、法律には触れないのでしょうか?
2.転売は違法ではありません。けれど……
どうしても欲しいものがあったり、どうしても行きたいライブがあった時「倍の値段を出しても欲しい!行きたい!」と思ったこと、正直ありますよね?
需要と供給が合うので、転売が成り立つのは当然といえば当然といえるかもしれません。
そして、実はこの転売、結論からいうと違法ではありません。
理由は、法律がないからです。
ただし!
「常識の範囲内」とされています。
なんとも曖昧な表現なのでわかりにくいですが、具体的には下記の3つの条件をすべて満たすと「常識の範囲を超える」とされます。
- 膨大な利益を得ている
- 定期的に利益を得ている
- 継続的に利益を得ている
この条件を満たし、副業で年間20万円以上、本業なら33万円以上の利益が出た際は、確定申告する義務があります。
つまり、主婦の人がメルカリなどで月に2万以上儲けていたらアウト!
とはいえ知らない人は多く、毎年確定申告の時期が近づくとビクビクしはじめる人も…。
その証拠に、「転売 違法」で検索すると、250万件以上のヒットがあります。
加えて、転売のほかにも、
- ①ダフ行為
- ②コピー品の販売
- ③お酒の販売
は禁止されています。
特に1つ目の「ダフ行為」は、ライブチケットなどでも知られていますが、こちらは地域の人の迷惑になるとして、各都道府県の「迷惑防止条例」で禁止されています。
法律ではなく、条例に反しているという位置づけです。
それなら、スニーカーを倍にして売る人も、ライブチケットを高く売るダフ屋も仕組みは同じ。
そこで出るのが先程の3つの条件の「膨大な利益」の部分。
スニーカーはせいぜい倍ですが、ダフ屋は1万円のチケットを10万円で売ることもあり『膨大な利益』とみなされます。
「じゃあスニーカーを倍で売るのはOKなのか?」という話になりますが、不要品を売る行為は「生活動産の処分」とみなされます。
スニーカーは生活動産品。「私が要らなくなったから売る」が通ります。
一方でチケットは「私が行かなくなったから売る」というのはやや不自然。1枚単位ではなく数枚ですし、組織ぐるみでやっているケースも多いですからね。
このように、「モノを売る」という行為の位置づけが難しい=転売を取り締まる難しさにつながっているといえるでしょう。
常識の範囲で考えると「ヤフオクやメルカリにページ作っている段階で、儲ける気満々では?」と言いたいところですが、グレーゾーンであることと、やっている人が膨大ゆえ、数千万単位で利益を上げない限り、取り締まれないのが現状です。
しかし、前述のように「確定申告の必要があり」ということは、クリーンとは言いがたいです。
ではどうすれば、安心してモノを売ることができるのでしょうか?
3.すべてを解決したいなら、古物商許可を取ろう!
引用元:http://gyousei.ono-office.jp/index.shtml
法律に触れることなく、モノを売る方法。
それが「古物商許可」を取ることです。
古物商許可は、個人でも法人でも取れます。
まずは、警察に申請を。その後地域の公安委員会で調査してもらうという流れ。
事業計画書があるなど、商売の目的がハッキリしていれば許可され、料金は2万円弱です。
許可されない場合もありますが、書類さえきちんとしていれば誰でも取れるので、安心して取り引きができます。
確定申告の必要性、そして「膨大かつ継続的・定期的に利益があれば違法」ということを知らずに、自分がやっていることが犯罪だという意識がない人が多いのは事実です。
基準が曖昧という背景もありますが、まずはその意識をしっかりと持ちたいものです。
なお、法律には定められていませんが、メルカリやヤフオク独自の規定もあります。
メルカリでは『転売は禁止』とされており、比較的ゆるい規定になりますが、
ヤフオクでは以下に該当する場合は古物商許可が必要になります。
- 過去1ヶ月に200点以上、または1度に100点以上出品した場合
- 過去の落札額合計が、1ヶ月で100万円以上の場合
- 年間の落札額合計が、1,000万円以上の場合
- 家電を1度に5点以上出す場合
ヤフオクの規定は思ったよりもしっかりしていますし、規定違反をするとアカウント削除など厳しい罰則が。
重ね重ねになりますが、転売自体は法律がないため違法行為にはなりません。
しかし3つの条件にあてはまれば確定申告が必要ですし、年間20万円の利益を隠し、突然税務署が来たら終わりです。
もし、古物商許可がなく、確定申告していないことがわかると、3年以下の懲役または100万円以下の罰金!
そのためにも、安心してモノを売りたいなら、古物商許可を取るのが安全といえるでしょう。
4.番外編:クイズ形式/この行為は違法?
さて、転売に関する知識を得たところで、クイズを出題します。
次の行為が、違法か違法でないかを考えてみてください。
問1:100万円で買ったロレックスの時計を50万円で売った
正解は……
↓
↓
違法ではありません。
理由は、利益が出ていないから。購入金額より安く売った時には、ダフ屋行為とはみなされません。
ライブチケットを売る際も、購入金額より安い(利益が出ない)ケースでは違法にはならないということです。
問2:行きつけのバーが店をたたむことになり、大量にお酒をもらったのでヤフオクで売った
正解は……
↓
↓
違法です。
理由は、お酒を売るのはNGだから。※無償で引き取ったものを売るのはOKです。
ヤフオクなどでよく見かけますが、お酒を売る場合は酒税法により販売業免許が必要です。
問3:アメリカにしかないブランドのアイテムを大量購入し、日本で売った
正解は……
↓
↓
違法ではありません。
理由は、海外と日本では法律が違うから。
海外にしかないものを海外で買い付け、販売する時は古物商許可は不要です。
ただし、日本にもあるブランドやメーカーの商品は「海外にしかないわけではない」のでNGです。
問4:欲しかった限定モデルのスニーカーを、朝から並んで3万円で買ったけれど、履いてみたらイマイチ。
そこでヤフオクで1円スタートで出したところ、予想外に10万円になってしまった。
正解は……
↓
↓
違法ではありません。
理由は、一時的なものだから。
もし、新作発表があるたびにやっていたり、毎月恒例でやっていると、先程の「定期的・継続的」を満たすことになりNGです。
とはいえ『欲しかったから!』と言えば通ってしまうので、これこそが「転売が違法かどうかはグレーゾーン」だといえるのでしょう…。
まとめ
今回は難しい話題でしたが、プロから皆さんにお伝えしたいのは「普通にやっている行為が、実は違法かもしれないという危機感と知識を持って欲しい」ということです。
気軽にセドリをしたり、「初心者もOK!メルカリ講座」などが散見する今、自分も法を犯しているかもという自覚を持って欲しいのです。
買い取り業界でもヤフオクでモノを仕入れますし、副業としてやっている人間もいます。
しかしそういう人間は法律に関する知識を持ち、ルールを守ってやっています。
知らないことは実に恐いことです!
例え副業でも利益が出ているようなら、古物商許可を取ること! 確定申告もお忘れなく!
古物商許可については少し難しいですが、お住まいの都道府県のサイトから「古物商許可」を検索してみてください。
また、行政書士さんにも依頼できますので、手続きが難しそうだと感じたら依頼してみましょう。