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2018.10.29 コラム

今後、ダイヤモンドの買取金額が下がる可能性大!

買取業界に、ショッキングなニュースが飛び込んできました。

それが「合成ダイヤモンドが流行っている」というもの。

しかも、合成ダイヤを作ったのは、「本物」を追求し続けてきたダイヤモンドブランド「デビアス(DE BEERS)」。

なぜそんなことが起こったのでしょうか?
理由とともに、さまざまな問題点を検証し、買取り店やユーザーができることを述べていきます。

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1.本物にこだわったデビアスが、
合成ダイヤモンドにとうとう着手

特別宝石に詳しくない方でも、「デビアス」がダイヤモンドの名ブランドということはご存知かと思います。

このデビアスが、あろうことか合成ダイヤを作ってしまったのです!

その背景は皆さんの予想通り「経営難」。

これまでデビアスのシェアは7~8割ありましたが、ロシアの鉱山で良質なダイヤが採掘されたり、業界一位という地位に危機感を抱かなかったせいか、気づけば4割程度にダウンしていました。

デビアスは、南アフリカに本社を持ち、1888年の創業以来、本物にこだわり続けてきました。
ブランドのキャッチコピー「ダイヤモンドは永遠の輝き」はあまりにも有名で、いつまでも輝いて欲しいという、本物へのこだわりが感じられます。

デビアスはこれまで「本当にいいものであれば、金額はいとわない」と考える、各国の大富豪などから絶大な信頼を得ており、デビアス自身も誇りを持っていたと思います。

しかし経営難に陥ったデビアスは、これまでのテーマとは真逆の「ダイヤモンドを、もっといろいろな人に知って欲しい」という方向に舵を切り、低価格の合成ダイヤを作ってしまったのです。

価格はなんと、本物の10分の1。
100万円のダイヤが合成なら10万円で買えるということです。

ターゲットも、中東やアジア圏の中間富裕層にシフトチェンジ。
「本物の中の本物」を手入れるのは難しいけれど、それなりの余裕がある人たちをターゲットにすれば、経営も回復すると思ったのでしょう。

デビアスの名誉のためにお伝えしますが、デビアスは合成ダイヤを「当社が作った合成ダイヤです」と伝えていますし、今後も高級路線のダイヤモンドは作り続けます。
言うならば、「合成」と「本物」の部門を分けるというイメージです。

「デビアスが合成ダイヤを作った」ということは大きな波紋を呼びましたが、もうひとつ大きな問題があります。

それが「合成のダイヤと本物のダイヤの、物質的な成分が同じ」ということです。

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2.最大の問題点は、
本物のダイヤと成分が同じこと

デビアスが作った合成ダイヤの成分が、本物のダイヤモンドと同じということは、
「真贋判定ができない」ということです!

デビアス自体は判定ができるそうですが、そのやり方は明かされておらず、従来のテスターを使っても、真贋判定はできません。

これまでも、市場やオークションに合成ダイヤが持込まれたことはありましたが、熟練の鑑定士が素早く察知したり、怪しいものを調べれば必ず判定ができました。

前述のように、デビアスは 「本物部門」と「合成ダイヤ部門」を分けて販売するようですが、分ければ何をしてもいいというものではありません。

真贋判定ができないということは、買い取り業者にとっては大変由々しき問題。

買い取り業者や鑑定士の中には「デビアスのせいで、真贋判定ができなくなった!」という声や、
「宝石に対する裏切りだ!」と憤る人もいるほど。
経営難に対する苦肉の策とはいえ、デビアスの行動には大きな疑問が残ります。

そして、目先の利益にとらわれたブランドが、そのイメージを下げていったように、デビアスのブランドイメージの低下は、おそらく避けられないでしょう。

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3.合成ダイヤが出回ることで、
大幅な値踏みが起こる予感

このような悪循環を阻止すべく、業界は必死で真贋判定ができるテスターを作っている最中ですが、現状で合成ダイヤであることが証明できる方法は次の3つ。

①鑑定書に「LABOLATRY GROWN」の記載がある。
②鑑定書に「CVD」という記載がある。
③指輪のクラウンの部分に「LABORATORY GROWN in the USA」の文字がある。

以上のどれかがあれば、合成ダイヤだと判断ができますが、 ③については、クラウン部分を見ないとわからず、刻印を消す悪質な業者もあるかもしれないので、難しい面があります。

また、これまでもオークション会場で合成ダイヤに遭遇することはありましたが、1ct以上の大粒ダイヤには適応されておらず、鑑定士が見れば判別も可能でした。
さらに、通常鑑定士はダイヤモンドのインクルージョン(内部に含まれている不純物の有無)を見て、ダイヤの状況を判断しますが、合成だとそのハードルもかなり高いといえます。

こうして、真贋判定ができなくなると、予想されるのが、業者の「値踏み」です。

これまで買い取り業界では、優良な店ほど宝石の鑑定力に自信がありました。
ダイヤモンドは、買取りにおける、最大の稼ぎ頭だったというわけです。

しかし、真贋判定が難しくなると、これまでの3割から5割くらいマイナスして、査定をすることになります10万円の査定が、7万円、5万円になるイメージですね。

すると「価格が下がる」→「市が盛り上がらない」→「価格も人気もますます下がる」→→「店頭での価格も下がり、ダイヤの価値自体が下がる」という悪循環を生むことになります。

ユーザー側も「見た目も成分も同じなら、別に合成でいいんじゃない?」という認識になり、かつての真珠のように、業界の外でもダイヤモンドの価値が下がっていく可能性も考えられます。

さらに、最近はダイヤの鑑定レベルが年々上がってきており、鑑定力のないところはすでに廃業、今や中央宝石研究所がダイヤモンドの鑑定を独占しているのが現状です。

当然、鑑定も厳しくなるため、同じダイヤモンドでも以前より低い査定価格が付けられるようになりました。

話題がのぼったのは2018年の6月。その後じわじわと広がり、「Net JAPAN」で取り上げられた際、業界全体は震撼しました。

では今後、実際の買い取りがどう変わるか、買い取る際に、業者はどう対応していくのでしょうか?

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4.価格破壊を阻止するため、
買い取り業者ができること

現状、日本のオークション会場や市において、デビアスの大粒合成ダイヤは出回っていませんが、今後出回ることで、価格破壊も当然起こってくるでしょう。

この価格破壊を阻止すべく、合成ダイヤを市場に入れないよう、買い取り業者が気をつけていくことは、主に以下の4つです。

①正規の鑑定書があるかどうかを確認する。
②カットやサイズなどのプロポーションが、鑑定書と完全に合致しているかを確認する。
③お客様と、丁寧に会話をする。
④これまで以上に横の繋がりを強化し、情報を共有・交換していく。

どれもシンプルで原始的なやり方ですが、鑑定書や「鑑定書とダイヤの整合性」を確認することで、合成ダイヤを市場に出回らせないことはできます。
そして、お客様と対話をすれば、購入の場所や今までの経緯を把握でき、転売する業者や、海外の反社会的勢力に対抗することもできるでしょう。
業者同士が力を合わせて取り組むことで、できることもたくさんあります。

とはいえ、今後ダイヤモンドの価値は、現在の真珠のように大幅ダウンすることが予測されるので、買い取り業者としても、積極的には買い取りを行っていかないでしょう。

おそらく、買い取れるのは2000年以降の新しいモノ。90年代以前のものは買取不可となる可能性もありそうです。

ですから、1ct以上のダイヤモンドを持っているなら、鑑定書を確認するとともに、早めに売ることをオススメします。

ちなみに「合成ダイヤが出るのであれば、合成ダイヤだけの相場ができるのでは?」という意見も出ていますが、そもそも優良店は合成ダイヤを買い取らないため、相場ができることはないでしょう。

また、ブランドイメージの低下を恐れ、いわゆる「一流ジュエリーブランド」が、合成ダイヤを取り扱うことも考えられません。

余談ですが、ダイヤモンドがこうした状況に陥った結果、今後色石の価値が上がる可能性が出てきます。理由は、フェイクが判断しやすく、真贋判定が確実だから。

今後は色石の人気にも着目するとともに、ダイヤモンドの動向についても敏感に反応していきたいです。

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5.まとめ

高級ダイヤモンドの大手ブランド、デビアスが合成ダイヤに着手したことは、未だかつてない混乱を招いています。

「合成も本物も成分が全く同じ」
「真贋判定が非常に難しい」
「ダイヤモンドの鑑定そのものも厳しくなった」
「業者の値踏みもはじまりそう」

こうしたことから、ダイヤモンドの価値は今後下がることが予測され、現状を回避すべく、買取店もさまざまな対策を考えていくと思われます。

しかし、この流れを完全に阻止することは難しいので、ダイヤモンドは、大きければ大きいほど、そして古いものは特に、早く売るか、査定だけでもしてみることをオススメします。